地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

数々の健康法を試した結果【地獄のイラストエッセイ】

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 私はこれまで身体に良いと聞くと「なに! 身体に良いのか! ならやった方がいいな!」と様々な健康食品を試してきた。

  高校生の頃、テレビの通販番組で非常に健康にいいと言われていたプロポリスやら赤ワインエキスといったサプリメントを、私は少ないバイト代の中から捻出して購入して飲んだ。他にもブルーベリーエキスや各種ビタミン剤なんかも試したが、まったく効果を実感できなかったのでどれもこれも一度買っただけでリピートはしなかった。そりゃそうだ。ちょっと飲んだだけで劇的に体の調子が良くなるのなら誰だって飲む。ああいうのは延々と飲み続けていると“本人の気が付かないところで病気などから身を守ってくれる”というものが大半なのだ。目に見える成果を期待してはいけない。

 だが急にやめるとひょっとして身体に変調をきたすのではないかと不安になり、それらを買ったドラッグストアに行っておじさんの店員に「今健康のためにここで買ったプロポリスと赤ワインエキスを飲んでいるのですが、急にやめない方がいいんですか?」と質問した。私が店員ならそこまで健康に気を遣う高校生がいたら笑いを堪えるのに必死だと思う。
 だが店のオヤジは商魂たくましく「そうですね、飲んだ方がいいですね。どちらもとても健康にいいものです」などと言ってきた。
 たしかに健康に良いのは分かっているが、高校生が飲む必要があるかというと話は別だ。プロポリスの開発者だってきっと「高校生なら飲まなくていい」と言うに違いない。このオヤジは何を根拠に高校生の私にまた二千円もするプロポリスを買わせようとしているのか。
 オヤジの商魂を見抜き、まだ若くて健康な私はそんなワケの分からないものにお金を掛けるくらいなら服の一着でも買った方がよっぽどいいと思って店を出た。やはり高校生にそんなものは必要ないのだ。それ以降私は健康情報をキャッチしてもむやみやたらと飛びつくことを己で禁じた。

 さて時は経ち私も二十代後半になった。何を食べても健康だった高校生の時とは違い、そろそろ身体に気を付けはじめなくてはならない。
 とは言え私は元来ケチのため外食をほとんどせずに野菜もしっかり使って自炊していたので食事内容はそこらの成人男性よりはいくぶんマシなうえ、以前“風邪に支配された人生”でも書いたように私は人の五倍は風邪を引きやすかったので、ビタミンCのサプリだけはずっと飲み続けていた。なのでおそらく健康状態はそこまで悪いものではないと思う。

“平熱を上げる作戦”でも書いたが、この頃の私が目を付けたのは“水”である。水を一日二リットル飲むことで体内を巡る水分が綺麗に入れ替わり、血液サラサラお肌はピカピカ風邪も引きにくいと、いいことづくめなのだ。何よりお金や手間がかからない。

 これまで私は楽天で売っているめちゃくちゃ美味しい粉末ジャスミン茶を冷蔵庫で作り置きしていたのだが、それもやめて常温水に変えた。夏は毎日水を冷蔵庫に冷やしていたのだが、これもやめた。気持ちがいいからと冷たいものばかり飲んでいると体温が下がってまた風邪を引いてしまう。それだけは避けなくてはならない。

 他にも私はあまりにすぐ疲れるこの身体はおかしいと思って情報を求めていたところ『日本人はたんぱく質を摂らなさすぎなのでとてもヤバい』という記事を見た。私は「なに! たんぱく質はそれほど大事なのか! なら摂った方がいいな!」と数年ぶりに鼻息荒くたんぱく質の摂り方について研究を始めた。
 聞くに、たんぱく質ギリシャ語で“一番大切なもの”という意味らしいではないか。私は「お前の一番大切なものは何か」と聞かれたら何と答えるだろう。ゲーム、アニメ、金、バイク――。うーんこれはいけない。ただちにたんぱく質を摂取すべきである。
 そうして私は朝食をプロテインに置き換え、魚やあまり好きではない豆腐を食べることで意識する前と比べて二倍以上のたんぱく質を毎日摂り続けた。そんなに大事なら摂り続けてみよう。

 だがそれらを二年継続し、思った。「いったい何が変わったのだろう……」
 はっきり言って、水をたくさん飲もうがたんぱく質をたくさん摂ろうが、特に目立った変化はなかった。「おお凄い! 水が体内を綺麗にしてくれている!」という実感などまったくないし、疲れやすい体を改善するという目的もあったプロテインだってそう。靴にヨーロッパ産の高いインソールを入れてもやっぱりすぐ疲れるし、遊園地なんかに行こうもんなら夕方には足がガクガクになって車いすが欲しいと文句を言う。金のかからない水が実感できないのは最悪いいとしても、金と苦労をつぎ込んだたんぱく質を実感できないというのは何事か。

 やはり健康食品群というものは老衰間際になって「ああ健康食品を摂っていたおかげで大病を患わない人生だったなァ」となるものなのだろうか。それならそれでべつにいいのだが、実感できないと継続するのをやめてしまいそうだ。“継続は力なり”という言葉を私は正しいと思っているが、継続するには意欲が必要だ。「よし! 老衰間際に感動できるようあと六十年頑張ろう!」とは私はならない。

 唯一、常温水を飲むということだけは平熱を上げる作戦に大いに役立ち、無事風邪を引きにくい身体になった。そう考えると、ケチな私がこれまで金をかけてきたものは全て実感できず、金をかけなかった水だけが効果を現したということになる。なんとモチベーションの上がらない結果なのだろう。ますますケチになりそうだ。

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