サザエさんガチ勢の私【水無のイラストエッセイ】
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突然かもしれないが、私はサザエさんガチ勢だ。ハチャメチャな生き方をしていて周りから“サザエさん”と呼ばれていたうちのおばばが親近感からか漫画を全巻持っていたので、物心ついた頃からずっとサザエさんの漫画と共に過ごしてきた。
放送だって毎週録画して妻と一緒に見ている。妻の部屋にはサザエさんのグッズが大量にあり、彼女の実家も全員サザエさんが好きだ。義父も放送を見ているし、義母はその昔妻を連れて東京の桜新町にある長谷川町子美術館に何度か行っていたと言った具合に一家総出で好きな様子だ。ひょっとすると我々夫婦最大の共通趣味はサザエさんかもしれない。サザエさんのお導きがあって結婚した可能性すら出てくる。
私が初めて長谷川町子美術館を訪れたのは、妻と交際中のことだ。私が連れて行けとせがんだところ「私も久しぶりに行きたかった」と言ったので、我々はさっそく桜新町駅で降りて現地へと向かった。駅前には磯野家の像があり、道中の商店街ではサザエさんで町おこしをしており、サザエさん達のイラストやお菓子が目に付く。天国である。
美術館ではサザエさんの歴史を学び、複製原画が当たるじゃんけん大会では早々に敗北して涙を流した。
そうやってサザエさん漬けの日々を送っていた去年の休日、外勤中の妻から連絡が入った。
「今お台場でサザエさん展をやっていて、サザエさんとニューエラのコラボグッズがいっぱいあるらしいよ!」
その連絡を受けた五分後には私は外に飛び出していた。バイクを飛ばし、サザエさん展を開催中のお台場フジテレビへと急ぐ。ニューエラとは帽子をメインとしたアパレルのブランドで、帽子野郎と呼ばれている私が、サザエさんとニューエラのコラボなど見逃していいはずがない。
会場に着いた私はチケットを買い、展示も見ずに秒速でグッズ売り場へと向かった。ネットの噂によると帽子の在庫がもうかなり少ないとのことだったので、展示は後回しだ。とにかく急がなくてはならない。
グッズ売り場は想像以上に大きく、これは天国だと踊りだしそうになる欲求を押さえてツカツカと競歩でニューエラコーナーへやって来た。なんと、私が欲しかった猫のたまが刺繍されたキャップは残り二点だった。それを見て私は心臓が止まりそうになった。何を隠そう私は人並み以上に頭が大きいので、サイズが合わないかもしれないのだ。私は残り二点を手に取ると祈りながらサイズを確認した。
「頼む7と5/8! 7と5/8!」
一つ目を確認すると7と1/4という絶対に入るわけがないサイズだった。
「ジーザスクライスト!」
私は心臓が飛び出そうになるのを押さえながら最後の一点を裏返し、サイズを見た。
“7と1/2”
じつに微妙である。かぶってみると、入らないわけではないがベストよりワンサイズ小さい。私はとりあえず小さい方を戻して、店のお姉さんに在庫を確認してみたのだがキャップはもう出ているだけとのことだった。明日のために在庫を隠しているのではないかと疑りかけたが、そんなことを思っても仕方がない。
「そうだ、若干キツいけどべつにかぶれるので、とりあえずこれを買っておいて今度新宿のニューエラストアに行こう」
と私は思い、購入を決意した。じつはニューエラストアでは蒸気でポンっと膨らますことによって汗で萎んだ帽子をサイズアップしてくれる無料サービスがあるのだ。新品の帽子だって多少ならサイズが大きくなることを知っていたので、私はなんとか無事たまのキャップ入手に成功した。
他にもニューエラのTシャツや、妻から頼まれていた食器や波平の会社の粗品タオルなど計一万六千円分を購入し、ほくほく気分で帰路に就いた。
数日後、ニューエラショップでポンっと大きくしてもらったことで私のデカ頭が気持ちよく収まるサイズに生まれ変わり、今なおストレスなくかぶることが出来ている。ちなみに私は他にもドラえもんのバージョンも持っている。
最後に一つ関東弁? について疑問があるのだが、妻はよくおいしい物を食べた時に「わーこれおいしいや!」と言う。彼女が生粋の東京人だからかサザエさんを見すぎてそうなったのかは本人も分からないそうだが、大阪人の私からしてみれば「おいしいや!」なんて言うのはこの世で磯野カツオ以外知らない。
他にも「わー凄いや!」「これは酷いや……」なども言う。カツオ語はバリエーション豊かなのだ。
彼女がカツオに憑りつかれているのか否か、私はそれが気になって仕方がない。
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