地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

マリファナでラリった友人達【水無のイラストエッセイ】

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 マリファナにはじつにアウトローなイメージが付きまとう。外人さんがマリファナパーティーでラリっていたり、日本ではヒッピーやレゲエのお兄さん方が夜な夜なキメているといったような危ない姿を想像する人がほとんどではないだろうか。

  二〇一八年にカナダがマリファナを合法化したが、私がカナダで英語の勉強をしていた二〇一四年はまだ合法ではなかった。
 だがそんな解禁前のカナダ・トロントでもマリファナなんて日常茶飯事だった。電車に乗ってりゃ隣の男はマリファナ臭いし、スーパーですれ違った男がマリファナ臭いなんてこともよくあった。形容しがたい匂いなのだが、しいて言うなら『青葉を燃やしている焚火の中でおならをしたような匂い』ではないかと私は思う。一度嗅げばおそらく二度と忘れないような、嗅覚と記憶に刻み込まれる匂いだ。決していい匂いではない。

 もし日本でマリファナを吸っていたら即逮捕かと思うが、どうにもこうにもカナダは緩い。一度ヤングストリートと言うトロントの中心地にある百均の前で友人を待っている時、後から来た四十歳くらいのおっちゃんがマリファナを吸い始めたことがあった。私はタバコの煙が大嫌いなのと同様にマリファナの匂いも大嫌いなので少し移動したのだが、吸い始めて二分後くらいに警察が来て男にマリファナをやめるよう話し始めた。私は『マリファナで逮捕される瞬間が見られるぞ!』と野次馬根性丸出しで近付いていったのだが、なんと警察は男がマリファナを地面に捨てたのを確認すると「Don't do that again!(二度とやんなよ!)」と言って立ち去った。

『逮捕されたりしないのか……』

 なんということだ。口頭注意で終わってしまった。日本で言うとおっちゃんが上半身裸でおしゃぶりを咥えながら道を歩くくらいのことなのだ。

 ちなみに私の友人も密売人からマリファナを買ってラリっていたのだが、どうやら安い粗悪品では天国へ行けないようで「ある程度値段がするやつじゃないと絶対よくないよ! 買う時は言って! 密売人紹介するから!」と親切に言われたことがある。彼は日本からカナダに来て、マリファナでラリって帰国したのだ。その後大丈夫だろうか。

 ちなみにそのラリ男くんの家で遊んでいる時、友人の二十歳そこそこの女の子が「私も一回やってみたい!」と言い出し、粗悪品でない質のいいマリファナを専用の紙で包んで吸ったところ、数分後に目をとろんとさせて「アハハ~クジラさんが飛んでるよ~すっごいね~大きいクジラさんだよ~アハハ~」と言い出した。完全にラリっていたのだ。すると一緒に吸っていたラリ男くんも「アハハ~クジラがいるわけないよ~だってここは陸の上だよ~クジラさんは空を泳がないんだよ~んアハハ~」と言い出した。言ってることは一見まともだが、完全にラリっていた。

 そんな平和そうなマリファナ天国カナダだが、一度事件に出くわしたことがある。
 友人達八人ほどでカラオケに入ると、なにやら一階の受付がかなりマリファナ臭く、部屋のある地下に入るとめちゃくちゃマリファナのにおいが充満していた。
「これ、ひょっとしてヤバいんじゃない……?」と恐る恐るにおいの元の方へ近づいていくと、我々の隣の部屋の中でパンクバンドみたいな恰好をした男達五人が完全に出来上がって大暴れしていた。
 我々は「絶対事件が起こる」と全員が本能で危険を察知し、店を出た。そしてこの後どうしようかと店の外で話をしていると、警官三名が突入していった。店が通報したのだろうか。だとしたらなぜ我々を普通に隣の部屋へ案内したのだろう。意味が分からないがなにせここはカナダだ。日本人の常識など通用しない。

 合法化される前からマリファナ天国だったカナダだが、私はどうも最近あのくさい臭いが忘れられずにいて、じつは今日歯医者の帰りに隣町にあるマリファナショップに行ってみた。ここは合法な物しか取り扱っていないそうなのだが、店の前に“大麻”という看板をデカデカと出しているため、非常に怪しい雰囲気を醸し出している。
 あの懐かしいにおいがするのかなと思って店内に足を踏み入れたのだが、良いのか悪いのかマリファナのにおいはまったくしなかった。代わりにお香の香りが漂っていて、なんだか謎の器具を売るオシャレショップという雰囲気だった。

 タバコの臭いもマリファナの臭いも好きじゃない私だが、ときおりあの臭い煙を嗅ぎたくなる。ラリ男くんの家を度々訪れていたことで、私の細胞がマリファナを求めるようになってしまったのだろうか。

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