地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

女性に囲まれた人生【水無のイラストエッセイ】

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「私はこれまでずっと女性に囲まれて生きてきた」
 こう言うとどこのスケコマシかと思われるかもしれないが、べつにそういう意味ではない。

  我が家は両親と姉二人、おばば、そして私という男二人、女四人の六人家族だった。姉二人は八歳上、十歳上とけっこう離れており、私は小さい頃から彼女達の木偶――もとい彼女達に非常に可愛がられて育った。
 加えて隣近所の幼馴染も四人ともみんな女の子で、外で遊ぶことはもちろん、お互いの家でままごとやゲームをすることもよくあった。小さい頃に何度か「うちら、将来結婚するんやんね?」と言われてドキッとしたこともあったが、チキンな私は何も言えずにモジモジして顔を真っ赤にするだけだった。

 そんなふうに、私は何一つ女に不自由しない幼少期を過ごしていた。なので幼稚園に入ってもクラスの女の子と遊んでいる方が気が楽で、何人か女の子の友人を作っては家に遊びに行くという、大人に置き換えて考えると恐ろしく女癖の悪い生活を送っていた。
 逆に男の子とはまったくと言っていいほど遊んだ経験がないまま幼稚園に入ったので、幼稚園で仲良くなった男の子の家に遊びに行くのがとても恥ずかしいように思えてしまい、照れてなかなか訪問することが出来ずにおばばに付き添ってもらうこともしばしばあった。

 だが小学校に入ると、おそらくみなさんも経験があるように『男子が女子と遊ぶなんて恥ずかしいことだ』という意識がどこからともなくやって来て、私の女遊びも中止せざるを得なかった。
 そんな状況に追いやられた私は女の子のことを友人ではなく恋愛対象として見始めたのか、小一でヒロコちゃんに恋をし、小三でミカちゃんに恋をし、小五でカヨちゃんに恋をした。みんなとても可愛かった。
 クラスでバカにされるといけないのでヒロコちゃんとは学校では話さず家に行って遊び、ミカちゃんとはバレンタインとホワイトデーのやり取りをし、カヨちゃんとは公民館のおにぎり作り大会に一緒に参加した。我ながらプレイボーイである。

 だがそんな私に人生最大のバッドデイズが訪れる。あれほどスケコマシていた幼少期とは打って変わって、中学高校という人生で一番恋愛が楽しい時期を、私は男友達とばかり楽しく過ごしてしまったのだ。

 ここから先の話を聞くと「何様だ」と批判を食らうかもしれないが、起こった事実だけを書くのですこし聞いてほしい。

 みなさんの学校には“四天王”と呼ばれる、いわゆるちょっと変なグループに属した女の子達はいなかっただろうか。私は中学でその四天王全員から好かれ、高校でも四天王のうち二角から目を付けられるという、私的に生命の危機を知らせる緊急事態宣言が発令していた。

 中学の時に四天王と戦った時の話だが、一人は休憩時間に尋常でない鼻息の荒さでズカズカと近付いてきて私の机にラブレターを叩きつけ、一人は私が帰宅のために友人達と自転車で校門をくぐろうとすると目の前に突如躍り出てきて「今日は私を家まで送ってよ! なんで!」と大声で叫んだ。なんでと聞きたいのはこちらの方だ。
 そんな出来事が頻発したせいで、一時期私は“ビーストキラー”と呼ばれた。普通の女子は私を憐みの目で見て、男子は大笑いしていた。こうして私の青春とモテ期は何の収穫もなく終わりを告げた。人に好かれることで人生設計が崩れるということもあるのだ。

 専門学校は男子三、女子二のクラスだったので普通に過ごしたのだが、その後わけあって四年働いたハンドバッグブランドのCOACHでは男三、女二十というかつてない女環境だった。そしてこの環境でしばらく過ごすうちに、私は自分が“女環境で育った男”であることを改めて認識させられた。

 あまりの女性比率に他の男性スタッフは「男の方が気が楽だ」と言っていたが、私は幼少期女に囲まれて育ったせいか、女性の方が話が合った。たしかに男の方がストレートで分かりやすいし冗談も通じやすい、陰口も叩かない。だけどこの数年後、男だらけの環境で働いていた時はむさ苦しくて息が詰まりそうだった。私は体育会系の職場が絶望的に苦手なのだ。

「好きな兄妹を貰えるとしたら」という話を一度はした経験がないだろうか。私は圧倒的に妹が欲しく、圧倒的に兄が欲しくなかった。家の男性比率が半数を超えるのも嫌だし、ましてや自分よりも上の立場の男兄弟がいるだなんて、私は想像しただけで身震いしてしまう。

 誤解のないように言っておくと、私は男の友人をめちゃくちゃ大事にしている。逆に女友達はと言うと、昔の友人でSNSでコメントをし合ったりする子は何人かいるが、実際会って遊ぶのは家族同然の幼馴染以外は一人もいない。集団生活では男が苦手で、遊ぶのは男がいいのだ。自分でも不思議だ。

 このエッセイを書くことで女性からは「女をなんだと思っているのか」と嫌われ、男性からは「スケコマシが!」と嫌われないか、それがただ心配ではあるが、それは『女環境で育ったためなので私は悪くない』と言う究極の逃げ台詞を置いて、今回は終わりにしたいと思う。

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