地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

様変わりした盆暮れ正月【水無のイラストエッセイ】

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 日本における三大長期休暇、盆暮れ正月。今年はコロナ禍のなか帰省するか否かで大きな波紋を呼んでいるが、我が家は帰りたい思いを我慢して今日も自宅で引き籠っている。コロナの後遺症には味覚障害がある。美味しんぼを全巻読破している私にとって味覚が狂うことだけは何としてでも避けたい。

  盆暮れ正月とは言うものの、大阪府にある水無家の実家ではあまりお盆に一家全員集まるという風習があまりない。おかんはクリスチャンだし、とっつぁんは無神論なので、坊さんと密接な関わりのあるお盆には疎いのだ。

 だが私は仕事があろうが東京にいようが、暮れには必ず大阪に帰る。このために生きていると言っても過言ではない。家族に会い、友人に会う。私の友人は結婚していない者も多いため何年経っても全然変わらないのだが、家族の集まりに関してはここ数年ですっかり様変わりした。

 昔、二人の姉が結婚してすぐの頃は私もまだ大阪にいて、年末年始と言えばただ寿司を食べ、年越しそばを食べ、おせちを食べ、餅を食べ、鍋を食べ、お年玉を貰い、近所の泉南イオンに行き、友人に会い、義兄と美味しんぼの漫画を読むというのがだいたいの行動パターンだったのだが、姉達に子どもができ、私にも娘が生まれた今、ずいぶんと様子が変わった。

 まず、うるさい。とてもうるさい。姪っ子二人に甥っ子三人。下は三歳上は八歳。暴れることが大好きなちびっ子達はソファ、カーテン、本、食器などを破壊しまくってはキャッキャと大喜びし、もっと食べされろと叫び、夜トイレで起きたと大泣きする。そして昼間は私に遊べ遊べとべったりなのだ。
 私、水無啓介は家族の中でも親戚の中でも一番年下のため、小さな子と遊ぶ術を知らない。だが彼らは「けーちゃーん! 遊んで―!」と私を慕い、引っ付いてくる。不思議なことになぜか昔から小さな子にモテる傾向にあるのだ。
 私は甥っ子達とは追いかけ回したり殴り合ったりと暴力的な遊びをして、姪っ子達とはままごとや折り紙、お絵かきなどの平和的な遊びをした。甥っ子に関しては自分も男なのでどういう遊び方をしたら喜ぶのかはだいたい分かるのだが、問題は姪っ子だ。私は家族や幼馴染がほとんど女というハーレム幼少期を過ごしたとはいえ、自分も子どもだったので特に遊び方で困ったことはなかった。だが大人になった今、彼女達とどう遊べばいいのかがまるで分らないのだ。なので手探りでテンション高く一緒に遊んでいるのだが、私がぶち当たった問題はままごとだ。
「けーちゃん弟役で、私ペットの犬な! はい! じゃあ夜になりました! ワンワン! ワンワン! おやすみの挨拶をしましょう!」
 こういった脈絡のないストーリーが三十分ほどの間何度も繰り返され、私は脳みそが溶けるのじゃないかと思うほど疲れた。

 ままごとは凶悪だが、しかし姪っ子というものは可愛い。私はずっと妹が欲しかったのだ。
 去年帰省した時、小一の姪が「今日はけーちゃんと寝たい……」と言ったのを聞いて、私は不覚にもキュンとしてしまった。なんと可愛い生命体なのだろう。我々は夜の九時にそれぞれの布団に入り、寝るまでの間に「もう寝た?」「まだ寝てない」とお決まりのやり取りをしたのち、小声で学校や習い事の話などをした。

 そして今、私にも娘ができた。今年の頭に初めて娘を連れて帰省した際、親や姉家族、そして姪っ子甥っ子にさんざん可愛がってもらい、帰省の様式がまた一つ変わった。今までは自由な客人といった立ち位置だったが、私も親になったのだ。

 ちびっ子達が生まれるまでは静かな帰省だったのだが、今ではじつに賑やかな帰省となった。昔の大人だけの静かな帰省を懐かしむこともあるが、時代が移り、世代も移り変わったのだ。
 今まで親がしてくれていた様々なことをこれからは自分達がやっていくのだと改めて考えると、私も大人になったなァとしみじみ思う。

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