地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

大嫌いな習い事1~スイミングスクールをサボる~【水無のイラストエッセイ】

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 今思い返すと、私は小学生の頃にいくつか習い事をしたが、漏れずに全て大嫌いだった。

  だが現在、私の二人の姪っ子がそれぞれ歌とピアノとバレエの習い事をしており、二人とも「楽しい楽しい」と精を出していると聞いた。私には習い事が楽しかった記憶など一瞬の輝き程度しか残っていないのに、彼女達は習い事の日が待ち遠しくて仕方ないという。それだけ夢中になれる習い事を見つけられた彼女達はどれほど幸せなのだろう。習い事シリーズとして、私の大嫌いな習い事の遍歴を順に書いていこうと思う。

 私の人生初の習い事はスイミングスクールだった。我が家の女性陣は全員泳ぎが得意で、特に姉その二は昔神童と称えられて飛び級しまくり、将来はオリンピック選手を目指すべきだとまで言われていたとのことだった。
 そんな一家に生まれた私がスイミングスクールに通わされないわけがなく、小学二年の時に尾崎スイミングスクールに通うことになった。
 最初は顔に水を浸ける練習から始まり、次はアームリング、ビート板、各種泳法――とステップアップしていく。次に進むには進級試験に合格しなくてはならず、無事進級すると水泳キャップに貼るワッペンが変わるので、子ども達はそのワッペンをモチベーションにして日々努力していた。

 初めての習い事ということで最初のうちは不安と緊張に苛まれながらも、慣れてくると泳ぐ楽しさが芽生えだし、通うのが楽しくなっていった。なかでも、たまに行なわれる巨大フロートやボールなどを使っていい日はキャッキャとプール遊びを堪能し、通うことが楽しみですらあった。

 だがそんな前向きな気持ちははじめの数カ月しか続かなかった。通い始めて二年ほどが経ち、六級になっていた私は猛烈にスイミングスクールに通うのが嫌になっていた。
 私は姉と違って特別才能があるわけでもどうしようもないわけでもなく、途中何度か躓きながらも順当に進級試験をパスし、クロール、背泳ぎ、平泳ぎと基本の泳法をマスターしていった。
 今やっているバタフライの試験に合格すると次はタイムアタックのコースに入るわけだが、私はどうもこのバタフライが気に入らなかった。クロールは速く泳ぐため、背泳ぎは楽に呼吸しながら泳ぐため、平泳ぎは目的地を見定めながら体力の消耗を抑えて泳ぐためにある。ではバタフライはいったい何のためにあるのだろう。泳ぎ方の意味が分からない上にやたらと疲れる。大人は「こうこうこういう理由がある」と言うが、小学生の私にそんな細かい存在意義の説明をされても知ったこっちゃなかった。
 それに加えて塩素のにおいに満ちた施設、びちょびちょの床、湿っぽくて暑いロッカールーム、学校の友達が誰もいない環境。その全てに嫌悪感を覚えていた。

 尾崎スイミングスクールまでは歩くと子どもの足なら一時間はかかるので毎回バスが特定の場所まで迎えに来るのだが、私はギリギリの時間に家を出た後、バス停まで行かずにそこら辺をほっつき歩き、バスに間に合わなかったと言って家に戻るということを何度かやった。だが毎回おかんは仕方ないと車で私を送った。私は送っていらないと言えばサボったことがバレれると思い、何も言わずにただ彼女の手間を増やすという無駄な行為を繰り返した。

 そういう事を繰り返していると当然おかんは私が嫌々行っていることを察知し、辞めたいのかと聞いてきたので、もうスイミングが生理的に受け付けない旨を伝えた。するとおかんは「じゃあ今やってるバタフライに合格して、四級になったら辞めなさい」と言った。私は「ちぇー今すぐ辞められるわけじゃないのか~」と文句を言いかけたが、子どもながらに途中で辞めるのは良くないことだと思って言葉を飲み込み、二回目の進級テストでバタフライをマスターしてスイミングを辞めた。

 今となっては中高の水泳の授業ではかなり上手い方で成績も良かったし、万が一水難事故に遭った時は生存率が跳ね上がるのでやっていてよかったとは思うが、それはあくまで『今となっては』の話だ。当時の私にそんな未来を見据えた目などなかったし、苦悩していたのはあの時の私なのだ。「頑張れ」などと言うと「じゃあお前が今やれ」とでも言われそうだ。

 お金の話をするとイヤらしいが、大人になった今現実的に考えると、一回サボるだけで二千円弱がパーになるのはあまりにバカらしい。
 もし私の娘が将来習い事に嫌々通うようになったら、きちんとヒアリングをして、通う意味があるかどうかを本人と話し合いたいと思う。

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