地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

ケチはエアコンを付けない【水無のイラストエッセイ】

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 私は非常にケチだ。無駄金を払うことを何より嫌う。多少の移動なら電車でなく歩きか自転車で行くし、小学生の頃に知り合いのお兄さんからアイスを奢ってもらうとなった時、スーパーカップと爽の内容量を見て多い方を選んでお兄さんをドン引きさせた。とにかくケチなのだ。

  だが私は人に迷惑をかけない系のケチなのだ。人に何かをたかったりしないし、車に乗せてもらうとガソリン代くらいは出す。要は自分にシビアなのだ。

 そんな私がもっとも苦戦を強いられるのが夏と冬のエアコンである。最近災害級の猛暑とニュースになっているが、私は金食い虫のエアコンが大嫌いだ。なんたって扇風機の十倍以上電気代がかかるのだ。恐ろしいったらありゃしない。
 実家にいた時はおかんから「熱中症対策のためにエアコンを付けてもいい」と許可が下りていたので快適なエアコンライフを送っていたわけだが、私は一人暮らしを始めてからその電気代の高さに驚愕した。
 春は三千円ほどだった電気代が、七月になってエアコンを付けただけで八千円を超えたのだ。
「八千円!? なんで!?」
 この“エアコン八千円事件”はケチの私に衝撃を与えた。目に見えるものが大好きな私にとって、ちょっと快適に過ごせるだけのエアコンにそんな爆撃的な料金を支払うなど言語道断だ。
 私は余っている扇風機を実家から貰ってきて、網戸にして換気性を良くすることで夏場を過ごすことを決意した。そして暑い夏が終わり、二カ月もすると今度は寒い冬がやって来る。

 だが私は冬に関してはそこまで困ることはなかった。元々エアコンの暖房やファンヒーターを付けると気分が悪くなるし、喉風邪をよく引く私にとって喉の乾燥は絶対悪なので、実家にいた時からまったく付けなかったのだ。実家にいた時はリビングでは妖怪コタツ男になり、自室では妖怪フトン男になっていた。分厚い靴下にもこもこズボン、ロンTに極暖ヒートテックにトレーナーにもこもこ上着。着込んでしまえばなんてことはない。カナダの凍てつく寒さを知っている私にとって、大阪や東京の冬など所詮は雑魚なのだ。

 だが結婚して今の東京のマンションに引っ越してからはそんなエアコン事情も一変した。この物件、最上階独立部屋なので外気に触れる壁がめちゃくちゃ多く、夏は暑く冬は寒いという地獄部屋だったのだ。
 これまでのケチケチライフがまったく通用しない物件を前に、私がこれまで積み上げてきた自信は粉々に打ち砕かれた。冬はどれほど着込んでから布団をかぶっても寒いし、夏は天井のシーリングファンと扇風機を回して網戸にしても汗をダラダラとかく。
「おしまいだ……」
 私は絶望に打ちひしがれた。経験というものはこうもあっさりと敗れてしまうのだろうか。必死に努力を重ねてきた高校生スポーツマンが、天才の出現に絶望する構図によく似ている。

 加えてエアコンの運用方法など何も知らない妻が暖房をかなり高温設定で付けたり切ったりしたため、私の“エアコン八千円事件”をゆうに超えた“エアコン一万五千円事件”を引き起こしたのだ。
 この事件で絶望した私はネットで調べに調べ、妥協案を模索した。そこで導き出したのは“冬は湯たんぽ、夏はエアコン”だ。順を追って書いていこう。

 この湯たんぽというものに関して、私はこれまでジジババが使う旧世代の遺物だという認識しか持っていなかったのだが、ドイツのファシーという湯たんぽは恐ろしくいい。従来の固い素材ではなく、グニャグニャと柔らかくて保温性も素晴らしいので、ソファと腰の間など、狙った場所に湯たんぽを潜り込ませることが出来るのだ。これは非常に革命的で、私は寒い寒いと凍えていた妻と大喜びでそれぞれ湯たんぽを愛用し、冬を乗り切るすべを身に付けた。

 さて問題は夏である。先ほどエアコンと書いたことで『なんだ結局負けたのか』と思われた方もいるかもしれないが、エアコンを付けないといけないなと思った最大の要因は娘の誕生だ。
 今、娘は初めての夏を迎えているわけだが、七月の後半になってくると子どもも大人も汗がダラダラで『これは大人のケチに付き合わせている場合ではない』と思い、エアコンを付けることにしたのだ。
 設定温度を二十九度にして、天井のシーリングファンを回す。すると安い料金で快適なエアコンライフを送れるということに気が付いたのだ。

 以前は汗をかきながら風が吹くのを待つ夏の暮らしだったが、今は二千円払うだけでこれほどまでに快適に過ごせるということが分かったのだ。正直言って執筆の速度にも影響が出ていたので、私はこれからは娘のためにもあまりケチケチせずに、省エネなエアコン運用で快適な暮らしをしていこうと思う。

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