地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

ワーホリ体験記五~窃盗団に出会って三回飛び級する~【水無のイラストエッセイ】

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 語学学校で一番下のクラスに振り分けられた私は、学校が終わると新しく出来た友人達と共に図書館へ行き、悔しさをバネに猛勉強した。放課後に自習なんてしたのは生まれて初めてだった。
 ちなみにこの図書館ではじつに様々な出来事に出くわしたので少し紹介したいと思う。

  ①コーヒー怖いおじさん
 トロントにはティムホートンという、コーヒーとドーナツが安いファストフードチェーン店がそこかしこにあり、図書館への持ち込みもなんら問題がないのだが、我々がコーヒーを持ってエレベーターに乗っていると後から乗ろうとしてきたおじさんが体中をわちゃわちゃとさせて「ワオコーヒー! オーマイガージーザスクライスト!」と大声で叫んで猛ダッシュで逃げていった。アレルギーだったのかもしれないが、この世の終わりのような騒ぎ方はあまりに衝撃的だった。

 ②共用パソコンで堂々とハレンチ動画視聴男
 特に何も言うまい……。

 ③窃盗団
『海外では自分の荷物から絶対に目を離すな』誰もが一度は聞いたことのある注意だと思うが、まさにその教訓に沿った事件が起きた。
 三階にある八人掛けほどの大きなテーブルを我々五人で使っていると、アラブ系の男が同じテーブルに掛けた。混み合っていたので特に気にしていなかったのだが、それからしばらく経った時に一階のロビーの方で同じようなアラブ系の男が大声で何か抗議し始めたので、我々は「なんだなんだ」と席を離れて見に行った。男は一分ほど叫び続けると外に出て行ったので我々も席に戻ったのだが、友人のスマホが同じテーブルにいたアラブ人と共に姿を消していた。
 どうやらよくある手口らしく、周りでもスマホを盗まれたと被害を訴えていた人がいた。まさに窃盗団である。

 そんなデンジャラスな図書館で三週間自習を続けていた私だが、授業が簡単すぎることに不満を持っていた。レベルニは『英語で遊ぼう』みたいなクラスだったため、独学で死ぬほど勉強してきた私にはやはり簡単すぎたのだ。
 そこで私は飛び級の申請をすることにした。日本ではあまり馴染みのない飛び級制度だが、海外では普通にあるのだ。
 二週間に一度行なわれるテストで上位成績者二人だか三人だかに入っていれば飛び級出来るシステムで、私は猛勉強の結果、次のテストでレベル三に進級することが出来た。

 だがこのレベル三、またしても簡単なのだ。『英語で遊ぼう』ほどではないにせよ、身体のパーツや動物の名前を覚えたりと言ったのがおおよその内容で、基礎単語も大事かもしれないが、発音やスピーキングを学びたい私にはまったく求めていない内容だった。
 その事を学校に相談したところ、レベル二から八のスタンダードなクラスとは別で、スピーキングに特化したクラスがあるというではないか。
「それこそ私の求めるもの! すぐに入りたい!」
 私は鼻息荒くそう伝えたのだが、あいにくそこは少し難しい内容のため、レベル四以上でないと編入できないらしい。
 なので私はまた必死に勉強した。そしてレベル三に入って最初のテストで好成績を収めたので再び飛び級を申請し、レベル四に上がった。我ながら凄まじい快進撃である。

 そしてレベル四のクラスを一度も受けずに、念願のスピーキングクラス“I CAN DO IT(俺なら出来る)”という若干名前のセンスがおかしいクラスに編入させてもらった。
 ここの授業は本当にスピーキングに特化していて『お前の故郷で一番好きな点』『お前が尊敬する人物』『お前がこれまでにやらかした悪事』といったような話のネタがいくつも書かれた紙の中から一つ選んで、全員で話し合うといった内容だった。
 たしかにこれまでとは比較にならないほど難しかったので、最初はなかなかついていけず、迷惑をかけていないかビクビクしていた。だがこのクラスに入ったことで自習のやり方が変わり、英語力も飛躍的に伸びた。
 これまでは『腎臓やカバを英語でなんというかを覚えてテストでいい点を取るための自習』だったのが『スムーズに話すために色んな文法や言い回しを覚える自習』に切り替えられたためだ。

 入学してひと月半。わずか三カ月の学校生活の半分が早くも過ぎ去った。何も行動しなかったら未だ一番下のクラスで英語遊びゲームをやっていたはずが、自ら行動したことで二つ飛び級し(最終的に三つ飛び級する。次回詳細を書く)、念願のスピーキングクラスに編入できた。
 何事においても、受動的に生きていては成功しえない。この頃を境に、私の中で何かが変わりつつあった。
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