地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

牛乳会の開催【水無のイラストエッセイ】

f:id:Essay_Miznashi:20200721095807j:plain

読み終わった後はぜひブックマークボタンを押して応援お願いします(‘∀‘)

 私が主催する会で牛乳会、プリン会、牛肉会というものがある。誰かに話をしても「それは何が楽しいのか」とイマイチ理解してもらえないので、名称を聞いただけでいったい何をする会なのかが分かった方は、私と同じで変人の素質があると思う。今日はそんな謎に包まれた会について書いていこうと思う。

  牛乳会というのはその名の通り、牛乳の会である。「なにをそのまんま名前だけ言いやがってこの野郎」と思われた方もいるかもしれないが、本当に牛乳の会なのだ。しかしただ飲むだけでなく、まずスーパーで値段や成分、製法の違う数種類の牛乳を買い、評価シートに記載していくという会だ。私はこの会を地元の友人ハーベスト氏と行なっている。

  私は彼をバイクの後部座席に乗せて愛するスーパー『オークワわくわくシティ』へと向かったのだが、どうしたことか。十本購入予定だったのだが、初歩的なミスを犯してしまった。
『どう考えても十本も持てない』
 そう、この時バイクにはまだサイドバッグがついておらず、我々はバッグも持たずにわくわくしに行ったため後ろの彼が十本持つほかないのだが、彼はサーカス団の曲芸師ではない。間違いなく破れるビニール袋をどうしようかと悩んでいると、彼は急にこう言った。
「オークワのエコバッグが欲しい」
 クレイジー! しかしそれ以外道はないだろう!
 まだ二十二歳の彼はスーパーのオリジナルエコバッグを購入し、我々は牛の乳から搾り出された液体、パック牛乳を十本購入して帰路に就いた。

 牛乳というのは一言で牛の乳と片付けるにはあまりに奥が深い。値段や成分調整、無調整かなどによって味が違うのは当然だが、私が一番大きな差を感じたのは加工時の殺菌温度だ。これは私のバイブル『美味しんぼ』でも紹介されていたのだが、スーパーに並んでいる牛乳のほとんどの殺菌方法は『百二十度台で二秒』の超高温瞬間殺菌だが、『六十度台で三十分』の低温保持殺菌で作られた牛乳は本当に風味が豊かで、牛乳本来の味が楽しめる。殺菌温度はパックに書かれているので、多少値は張るがスーパーで見かけたら一度試してみてほしい。

 家に着き、会長である私の牛乳会開催の挨拶が終わると、我々は十本の牛乳の評価を始めた。味わい、香りの違いを楽しみ、評価シートに必要事項を記入した。場所が実家の子ども部屋でなければ、さながらミシュランの審査員である。
 そして我々は一時間ばかり延々と牛乳を飲み続けた。はじめは牛乳それぞれの香りの違いを楽しみ、口の中で空気と共に含んで転ばせ、一つ一つ味わっていた。だが一つ聞きたい。あなたは一時間ただひたすら牛乳を飲み続けたことがあるだろうか?
 専門家でもない私達がその愚かな行為を働いた結果、もう白いってことしか分からなくなっていた。

 こうして牛乳会は無事閉会し、懲りない私達はその後もなぜか牛に焦点を当てて『第二回プリン会』『第三回牛肉会』を開催した。周りからは笑われ、理解を得られることはなかったが、私達は第四回開催を再び計画している。
――――――――――
これからもエッセイを投稿していきますので、気に入っていただけましたらぜひフォローお願いします。
ブックマークや感想を残していただけると非常に嬉しいです。質問等もお気軽にどうぞ。喜んで返信させていただきます。
ありがとうございました。