地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

十五人規模のボール遊び集団【水無のイラストエッセイ】

f:id:Essay_Miznashi:20200710151707j:plain

読み終わった後はぜひブックマークボタンを押して応援お願いします(‘∀‘)

 中学の頃、私は数人の友人を誘って体育館裏の広場でボール遊びを始めた。山に隣接したそこにはよくボールが落ちており、ボールに困ることはなかった。
 ボール遊びと言ってもドッヂやバレーをしていたわけではなく、決まっていつも『足だけを使い、二バウンドする前に他の人に渡す』という、けまりの亜種のような遊びをしていた。

  ちなみに私達は『いね』と呼んでいたのだが、今エッセイを書くためにネットで検索しても『もしかして: ボール遊び 犬』としか出てこず、まったく全国区ではない名称なのだと初めて知った。では私達が毎日連呼していたあれはいったい何という遊びなのだろうか。謎は深まるばかりである。

 最初は四、五人で昼休憩に始めた遊びだったが、違うクラスの友人も参加したいと続々と申し出があり、気付けば十五人規模の大集団となっていた。そして増えたのは人だけではなく、開催回数も劇的に増えた。わずか十分の休憩時間でさえ毎回開催されるようになり、さらにそれだけでは遊び足りないのか、しまいには朝早く登校してやるようにまでなった。中学生の遊びへの執着や熱意には目を見張るものがある。

 かくして私はその大規模な集団をまとめるお山の大将だったわけだが、人数や開催回数が増えたことでアクシデントが頻発した。
 一つ目の事件だが、ボールが屋外体育倉庫の屋根に乗ったので乗せた本人が取りに行くと、屋根が風化していたのか凄まじい音を立てて壊れたのだ。これには見ていた我々も慌てふためいたが、それは皆落ちたことによる怪我の心配ではなく、騒ぎを聞きつけた教師に屋根を破壊したことがバレることを恐れてのことだった。なんとも酷い集団である。
 我々は「後ですぐ助けに来るから、いったん誰が来ても静かにしといてや!」と言い残し、蜘蛛の子を散らすようにしてその場を離れた。すると案の定近くにいた技術教師『ザビエル』がやってきて「おう今の音なんや出てこんかワレコラー!」と任侠ヤクザ映画から飛び出してきたかのような叫び声をあげたが、当然誰も答えはしない。彼が一通りその辺りを点検したのち渋々とその場を後にしたのを見ると我々は方々から出てきて、壊れた屋根から落下した友人を救い出した。

 もう一つの事件だが、これはとても悪いことなので良い子のみんなは絶対にマネしないでほしい。雨の日は外で遊べないため、我々は校内でよく鬼ごっこをした。『廊下を走るな』というポスターがいたる所に貼られていたが、そんなもの見えませんよと言わんばかりに全力疾走で校内を駆け回る姿は校内でも有名になった。そして有名になったことで教師がついに動き出し、ある雨の日の昼休み、数人のコワモテ教師による取り押さえ事件が勃発した。(教師からすれば我々が校内走り回り事件の犯人なのだがなのだが)
 私はサルなので、壁を走り階段を飛び越えと行く手を阻む教師の包囲網を掻い潜ったのだが、メンバーの一人が魔の手に落ちようとしていた。追い詰められた彼は二階の窓から一回の屋根へと飛び降りたのだが、そこが運悪く職員室前のガラス天井で、ガラスをバキバキに割ってしまった。幸いそのまま落下せずに体を打っただけで大事には至らなかったのだが、ある程度怪我を負っているにも関わらず、彼は観念せずにそのまま逃走したのだ。これには見ている生徒も大盛り上がりで、彼は一躍スタントヒーローとして人気者になった。だが後日彼の家にはしっかりと多額のガラス代の請求書が届き、学校以上の騒ぎになったことは言うまでもない。
 そんな事もあってか校内を走り回るのはさすがによろしくないとなり、校内鬼ごっこはその後開催されることはなかった。

 色々と書いているとなんとも悪い中学生だと自分でも嫌気がさしてきたため、今回はこの辺りで終わりにしたいと思う。ぶつかって他人を怪我させたりガラス代を支払うことになったりと、そういった痛い目というのは遭ってからでないと理解できないため、校則はきちんと守った方がいいと、今さらながら私は思う。
――――――――――
これからもエッセイを投稿していきますので、気に入っていただけましたらぜひフォローお願いします。
ブックマークや感想を残していただけると非常に嬉しいです。質問等もお気軽にどうぞ。喜んで返信させていただきます。
ありがとうございました。