地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

大嫌いな習い事三~そろばんの先生と大喧嘩をする~【水無のイラストエッセイ】

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 苦痛だった習い事の中でもトップクラスの嫌さを誇っていたのがそろばんなのだが、同時に大人になった今やっていて良かったと思う習い事トップクラスもまたこのそろばんなのだ。

  小学三年から五年の間通っていたそろばん塾は、家から徒歩二分の場所にあった。書道教室の時もそうだが、どうして我が家の周りにはこうも面白くない習い事の教室ばかり充実しちゃっているのだろう。
 書道の優しい先生と違って、そろばんの先生は七十代の背が高くてちょっと怖いおじいさんだった。
 最近ではそろばんとはいったい具体的に何をするための物なのか知らない人だっている時代になっているかもしれないので一応書いておくが、足し引き算や掛け割り算を暗算よりも早く正確に行なうための物だ。仕事で計算する場合はもちろん電卓を使った方が効率がいいわけだが、このそろばん、後で書くのだがじつは単純に電卓の下位互換というわけではないのだ。

 そろばん塾は週一回一時間で、行くとテキストの続きをそろばんで計算し、終わると先生のところに持っていって答え合わせをしてもらうのだが、まあこれが面白くない。はじめは一桁の足し引き算から始まり、進級すると徐々に桁が増え、掛け割り算が入り、さらにその桁も増え――といった具合に難易度が上がっていく。私が最終的に何級まで進んだのかはちょっと覚えていないが、四桁の掛け算くらいは出来ていたと思う。

 他にもやっていたのが『願いましては~』から始まる読み上げ算だ。これは有名なので聞いたことのある人も多いのではないだろうか。あの古めかしい教室には自動読み上げ装置などなかったので先生の肉声でお届けされていたのだが、これがまた難しい。一つでも飛ばしてしまったらもうジ・エンドなので、全神経を集中させる必要がある。さらに先生がたまにどもるので、リズムが崩れてやりにくいったらありゃしなかった。

 そろばん塾ではそういった“そろばんを使った練習”の他に、もう一つもっとも大事なものがある。それは暗算だ。
 冒頭でも書いたように、今の時代会社に入ってそろばんで計算を始めたら笑いものになるか怒られるかのどちらかだが、暗算は非常に役立つ。

 学校で教わる暗算とそろばんの暗算はやり方がまったく異なる。結局私は最後まで何のこっちゃ分からないまま辞めたのだが、先生が言うにはひっ算で暗算するのではなく頭の中でそろばんをイメージしてパチパチやるとのことだった。
 だが私は想像力が致命的に欠落した人間なので、そろばんの暗算がまったく出来なかった。絵を描くことにも通じているのだが、思い描いてもすぐにイメージが四方へ弾け飛んでしまうので全体像を頭の中できちんと固定出来ないのだ。
 その事で私は先生と何度も喧嘩をした。
「頭の中で! そろばんを! 思い浮かべるんや!」 
「だからそんなんで計算なんか出来へんって言ってるやん! 思い浮かべてもパチパチなんか無理やって!」
「なんで出来へんのや!」
「なんでじゃなくてちゃんとやり方教えろハゲー!」
「誰がハゲや! 待て!」
 先生の外見的特徴をバカにした私は室内を漫画のように追いかけ回され、教室は騒然となった。とんだクソガキである。そして私はそんな騒ぎを三度ほど起こし、二年ももたずに辞めてしまった。

 結局私はきちんと暗算のやり方を教えてもらえず、頭の中でひっ算を書いて計算していたため成績は良くなかった。だが簡単な暗算能力は人よりかなり高くなり、大人になった今でも『四十パーセントオフの商品がレジにてさらに二十パーセントオフ!』といった計算はかなり早い。この計算の速さはハンドバッグブランドのCOACHで働いている時にかなり役立った。
 結局のところそろばん塾とは“そろばんで速く計算が出来るようになるための習い事”ではなく“そろばん塾で計算に慣れることで数字に強くなることを目標にした習い事”なのではないだろうか。

 しかしもし私が頭の中でそろばんをイメージして暗算が出来るようになっていたら、もっと世界は広がっていたのだろうか。これを見ている人で出来る人がいるなら、ぜひ教えてほしい。

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