地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

かくして私はバイクを買った【水無のイラストエッセイ】

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 私のイメージを知人に問うと、おそらく多くの人が『バイク』と答えるだろう。バイクに何の興味もなかった私が、なぜこれまで四台のアメリカンバイクに乗ってきたのか。その経緯を書いていこうと思う。

  私の実家は海抜七十メートルの山を切り開いて造った住宅地にある。駅や町中の行き来には自転車では到底のぼりきれないような長い外周道路を往復する必要があり、車なりバイクが無いととても不便な場所だ。
 だが幼い頃から染みついた自転車生活に慣れすぎていたためか、高校卒業までは自転車での移動に特に何の疑念も抱いていなかった。私が心変わりしたのは、専門学校に通うようになってからだった。
 以前、私はあまりに体力が無いというエッセイを書いたが、私の体力は高校でバレー部を卒部した頃を境に如実に落ちた。『急降下』や『直滑降』という言葉がじつにしっくりくるほど、体力は綺麗さっぱりどこかにいった。
『行きはよいよい帰りは地獄』すっかり体力の抜け落ちた専門学生の私は、学校終わりの遅い時間に地獄の急坂を自転車を押してのぼる自分をある日不思議に思った。「なんで私はこんなにもヒィヒィ言いながら毎日自転車を押しているのだろう」
 そこで私は原付を買うことにした。高校卒業時の春休みに車の免許を取得していたので、車体を買うだけですぐに乗れる。私は浮足立って近所のバイク屋に行ったのだが、どれもこれも近所のおっちゃんが乗っているようなイケてないデザインばかり。当時服に全生命をかけていた私は「こんな畑帰りのおっちゃんが乗るような原付は絶対嫌だ」などとそこらじゅうのおっちゃん全てを敵に回すようなことを言い、ネットでカッコいい原付を探した。
 すると出るわ出るわ。こんな田舎では見たことのないような「これが原付か」と目を疑うカッコよさ。ジャズやマグナ、モンキーといったヤンキー高校生が好みそうな原付に目どころか一瞬で心をも奪われた私は即座ヤンキーの知人に相談したところ、高校の友人が六万円で譲ってくれるとのことだった。

 私が手に入れたのはマグナ50という原付では最大サイズの代物で、ハンドルが上空遥か彼方に向かって伸びたカスタムが施されていた。配達されてきた相棒を見た私は狂喜乱舞で辺りを乗り回し、自転車と違ってヘルメットを着用しないといけないことを忘れていたため五分後に警察に捕まった。

 だが乗り始めて数日後、問題が発覚した。このマグナ50、先述した通り原付では最大サイズとあって車体が非常に重く、急坂をのぼるのがとにかくノロい。助走をつけてフルスロットルで挑んでも五秒後には時速二十五キロまで落ち、私が散々バカにした畑帰りのおっちゃんが乗る原付にビュンビュン抜かされていくではないか。それに行動範囲が広がったとはいえ所詮は時速制限三十キロ。図体だけは立派なくせにとんだノロマである。

 マグナを買った一年後、私は中型の二輪免許を取り、ビラーゴという250ccのアメリカンタイプのバイクを買った。私はバイク好きというより、アメリカンが好きなのだ。
 だがこのバイクは不幸にも交通事故に遭い、三年半で他界した。ほぼ十対ゼロの事故により、相手に買ってもらったのが三台目となるスティードという400ccのこれまたアメリカン。
 私はいつもネットでバイクを買っていたのだが、初めてハズレを引いたのがこのスティードだった。中身がとにかくオンボロで、どう修理してもなにかと『ポンコツポンコツ……』と音を立ててエンストする様に私はついに堪忍袋の緒を切らし、二年で売り払った。
 そして今なお乗り続けている四台目のドラッグスタークラシック400に出会ったのである。

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 詳しい方は乗り換えるごとに車体が大きくなっていることにお気付きだろう。そう、私はとにかくデカいのが好きなのだ。ハンドルは高く、タイヤはドーンと前へ。バカと煙は~という言葉があるが、私の巨大好きもこれに当てはまるのではないかと自分では思っている。
 だが目立つ分よく人に話しかけられる。駐車場ではおっちゃんによく声を掛けられ、幼稚園の前を通って通勤していた時は毎日子ども達が「おっきいバイク来た!」と目を輝かせていた。
 風の気持ちいい日にバイクに跨っていると、最高の解放感で胸が躍る。この感覚は、乗らない人には分からないと思う。
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