地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

個人が業者に発注しまくる【水無のイラストエッセイ】

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 みなさんは今まで印刷などの業者に何かを発注したことはあるだろうか。
 今でこそ物によってはスマホのアプリなどから簡単に発注出来るサービスも増えてきたが、十年ほど前は業者に発注と言えばけっこうハードルの高いものだった。
 私はこれまで数々の発注を印刷業者にしてきたのだが、その中には簡単なものから大変なものまで色々とあった。

  初めて私が発注したのは二十歳頃、友人の誕生日にTシャツを贈るためだった。ファイナルファンタジーが好きな友人だったので、ファイナルファンタジー7のロゴの一部を友人のもの凄い変顔に変え、公式フォントでフルネームを添えたもので、贈るとかなり喜んでくれた。私ならあんなもの貰ってもどうしたらいいのか分からない。
 当時はフォトショップも全然詳しくなかったし業者への投稿フォームも簡単でなかったので、色のモードや解像度などで多少苦労したが、そこまで難しいものではなかった。

 その後私は自分用のパーカーやブルゾン、ネクタイ、直近では去年私のバンドの公式パーカーを発注した。ロゴ作成にはイラストレーターというソフトを使うべきなのだろうがどうにもこうにも私はあのソフトとは相性が悪く、パス打ちなどの絶対必要箇所以外は全てフォトショップでデザインを一から作っている。

 他にもスマホのケースはこれまでに三個発注した。最近ではデザインさえ起こせば発注はスマホで簡単にできるアプリがあるので、ジャイアンの妄言スマホケースなどを作ったりして楽しんでいた。誰も見たことがないスマホケースを作れるので、これはかなりおすすめだ。これまで多分三十人くらいに「いいですねそれ!」と言われて話が盛り上がった。

 他にもポスターなんかは発注が簡単な部類だ。私はキモオタ全盛期だった二十四歳頃、部屋にアニメのポスターを貼りまくっていた。それはアニメイトなどで買った物もあれば、発注して作ったものも七枚あった。
 ポスターは小さいものだと安く済ませるコツがある。それは無料でカットをしてくれる業者を選ぶことだ。一つの発注データの中に三枚分のデザインを入れておき、カットする位置を指定するのだ。私はこの方法で一枚千円のところ、同じ値段でB4のポスターを三枚作ってもらったことがある。

 一番難しかったのは二年前に作ったバイク用のステッカーだ。ステッカーなんてありふれたもの何がそんなに大変なのかと思うかもしれないが、私はこの件で脳みそが溶けそうになった。
 まずバイクのタンクに貼る物なので、粘着力が大切だ。貼ったら最後、剥がす時はタンクの塗装ごと死ぬ覚悟の粘着力がなくてはならない。足で擦れて先っちょの細い部分から剥がれてくるような軟弱なステッカーではいけないのだ。
 そしてもう一つ大切なのが耐久性である。カバーを掛けているとはいえ屋外保管で、走行中も太陽光やら雨やら風を受ける。色々と調べたところ、耐水性は聞いたことがあると思うが、耐光性という光を浴びても色あせないものや、さらには耐候性という、全天候への耐性を持つものまであるという。これは選挙ポスターにも使われていて、雨だろうと光だろうと決して屈さない、高すぎないものの中では最強の処理方法だと言う。
 とは言え耐候のステッカーで調べると、タンクの両側に貼る二枚で三、四千円かかる業者がほとんどだった。私は『高いな……』と、タイヤを前に伸ばすパーツに十万もかけた男とは思えない文句を言いながら業者を探していると、デジタというサイトに出会った。
 ここでは予備用も入れた四枚でもなんと九百五十円という意味が分からない値段で作ってくれるという。さすがに安すぎるので素材が粗悪なのかと怪しんだが、一般的に車のステッカーに使われる素材に塩化ビニールの光沢ラミネート加工で耐候性バッチリ、さらに高粘着という、最高のサイトだったので、私はすぐにデザインデータを納品した。

 だが何が地獄だったかと言うと、これは私の知識が足りなかったせいなのだが、発注データに問題があったと届いた差し戻しメールの内容が聞いたことのない単語だらけでまったく意味が分からなかったのだ。会社のイラストレーターに詳しいお姉さんに聞いてもよく分からないと言われのでネットで勉強しまくったところ、どうやらパスの数(線が少しでも曲がると発生する角の数のこと)が多すぎるので修正してくれとのことだった。
 他にもいくつか小難しい修正依頼が入るたびに試行錯誤し、結果申し訳ないことに何度も担当者さんの手を煩わせることになってしまった。ソフトが違うとは言え、仕事でフォトショップを触りまくっている私にとっては予期せぬトラブルだった。

 こうした苦労の末、無事ステッカーは完璧にイメージ通りの姿で私の元に四枚届いた。初回登録で手に入れた千円分のポイントを使ったので、本当に九百五十円しか支払っていない。私が担当者なら七千円くらい払ってもらわないと割に合わないと思うだろう。

 ステッカーを貼ってもう二年が経つが、今のところ剥がれも色あせもまったくない。こんなにも素晴らしい物をあんな値段で作ってくれるだなんて、また何かあったらぜひ利用させてもらいたいと私は思っているが、デジタさんからすれば私からのオーダーはもう二度と受けたくないのかもしれない。恋と同じで、一方通行というのはつらいものだ。

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