地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

【見る留学】ワーホリ体験記一~独学で英語を勉強する~【水無のイラストエッセイ】

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 私は二十五歳の時、バンドのボーカルとして英語の発音を向上させるために(ためだけにと言った方が正しいかもしれない)、ワーキングホリデービザで単身カナダへ渡ることにした。

  仕事を退職してから出発まで二カ月の猶予があったので、その間実家に引きこもって英語の勉強をすることにしたのだが、当時の私の英語力の低さはそんじょそこらの人には引けを取らないレベルだった。

 まずdidとdoesとisの違いがよく分からず「doesってdidのオシャレ版?」などと意味不明なことをほざいていたほどだ。そう、私は中高と学校の勉強を全然、まったく、一ミリもしていなかったため、偏差値が片手で数えられるほどしかなかったのだ。
 幸い中一から英語の曲ばかり聴いていたのでカッコいい英単語だけは詳しかったのだが、不幸にも発音のよろしくない日本人バンドしか聞いていなかったのでリスニングは悲惨だった。

 私はとりあえず英単語が分からんことには何も始まらんと思い、デュオという英単語勉強の金字塔との呼び声高い本を買ったのだが、記憶力がサル以下の私にはただ単語を覚えるという行為がほぼ不可能だということが分かり、デュオには早々にホコリが蓄積し始めた。
 そこで私は『大人のニューホライズン』みたいな本を購入した。これは中学で使うニューホライズンの内容をやれデートだイチャラブだ失恋だと、大人が楽しめるドロドロの内容に昇華させたもので、純情な中学生にはまったく不向きな一冊だった。私はこの本を徹底的に読み漁り、文章の構成の仕方を学んだ。

 日本人の二十五歳とは思えないゴミ以下の英語力しかなかった私だが、この本のおかげで質問の時は『I am』から『Am I』になることを理解し、複数系や三人称単数の場合は名詞や動詞の後に『s』が付くことを何となく理解出来た。

 手垢で汚くなるほど大人のニューホライズンを読み込んだ一カ月後の私は、以前と比べてかなり上達していた。そして基本が何となく分かった私の英語力を加速させたのは『歌詞の和訳』だった。先述したようにただ単語を覚えるといった作業的な勉強が致命的に出来ない私にとって、好きな英語曲を和訳するという勉強はとにかく楽しかった。

 私が死ぬほど好きなバンドPay money To my PainThis Lifeの一節『I don't remember when was the last time』を『I don't remember→覚えていない』『when was→いつだったか』『the last time→前回』をパッと和訳できる程度にはなっていたので、元から比べると劇的な進化である。やはり勉強においてモチベーションは最重要だ。
 私はその調子で一曲全部を和訳し、次は和訳した歌詞を逆に英語にするという勉強の仕方をした。ちなみに歌詞には意訳が多いので、あまり鵜呑みにはしない方がいい。

 だが文法や読み書きの勉強はあくまで『カナダで発音を学ぶために必要な英語力』であって、私の目的は発音の矯正だ。その部分の勉強は、発音の綺麗な字幕付きのトーク番組などを繰り返し耳で覚えては口に出して――というのをしつこく何度も行なった。モチベーションを保つには、明確な目標が必要不可欠なのだ。

 私が自分の成長に驚いていたのと同じように、両親もまた同じように驚いていた。学生時代の私の成績の悪さといったらそれはもう並の親なら卒倒するか精神が崩壊するかと言ったレベルで、当然勉強をしている姿を見せたことなどほぼなかったのだ。そんな人間が突然一日に何時間もの勉強を二カ月も続けたのだから、驚くなというのが無理な相談である。

 こうして私は中高で得るべきだった英語力の一部を、二十五歳になってようやく手に入れた。
 周りが言うには、学校の勉強こそしていなかったものの、誰よりも早い段階で英語の曲を聴きまくり、相当な数の歌詞を暗記していたことが活きているのではないか、とのことだった。

 二カ月の独学で最低限の英語力を得た私は、二〇一三年の十二月六日にカナダへと単身飛び立った。
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