地獄の画家卍イラストエッセイ水無

俳優として全国CMで主演を務め、入社した映像制作会社で「喋りが面白いから」となぜかYouTuberにさせられてうっかり1,000万回も見られてしまう。地獄のようなイラストを添えたエッセイを毎日公開中。書籍化したいので、皆さん応援してくださいね☆

プロテインですぐ疲れる体の改善【エッセイスト水無】

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 体育大学付属高校に行っていたくせに私はどうにもこうにも体力なし男で、何かとすぐに疲れていた。

  昔からずっと細身で、太ったことはただの一度もなかった。とにかく体を動かして遊ぶのが大好きで、学校の休み時間や放課後、そして休日と、常に友人達と外で遊びまくっていた。加えて学校のクラブ活動では器械体操部や球技部に入り、学外クラブでバレーボールまでしていた。そんな男がなぜ体力なし男になったのだろうか。理由は三十一歳になった時にようやく判明した。

 小学校の頃は体力に何の問題もなかった。人より遊び、人より動き、人より力があった。
 中学に入ると本格的に部活が始まり、小学校のバレー部にはなかった筋トレがメニューに組み込まれていたため、私の体力はメキメキと上昇していった。加えて登下校には凄まじい角度の急坂を上り下りしなくてはならないため、平地に住む同世代よりも圧倒的に体力の数値が高かったはずだ。

 私の体力が陰りを見せ始めたのは高校に入ってからだ。駅までは強烈な急坂を含む道を自転車で十五分かけて通っていたのだが、中学までのように休憩時間になると毎度外でボール遊びをしていたわけでもないし、所属していたバレー部は自分達で作ったゆるいものだったので、筋トレなどするわけもなく、体育大学付属高校に通っているとは思えないレベルで体力はドンドンと落ちていった。
 また、体育のシャトルランや長距離走、サッカーなどの体力を使う種目はサボり魔の友人達と喋るだけでやりすごすようになり、体を動かす機会は劇的に減った。

 さらに専門学校に通い始めると、私の人生から運動という文字が見事なまでに消滅した。駅まではバイクで行き、あとはずっと電車。クラブなんてもちろんないし、休憩時間に動き回ることもない。超健康体だった私は、二十歳を前にして完全に体力なし男へと変貌を遂げた。

 そうやって落ちぶれた私は、とにかくすぐに疲れるようになった。遊園地に行けば午後には「車イスを持ってこい」と言うほど足が棒のようになり、買い物に出かけても、少し前までは一日中アメリカ村を練り歩いていたのが嘘のように休憩を挟みまくった。

 映像制作の仕事はデスクワークが多く、座っていると足が破裂するんじゃないかと思うほどむず痒くなり、一時間に一回は立ち上がって辺りをうろうろと徘徊した。

 さすがにこれはおかしいと思った三十一歳の私は大好きなネット検索で情報を求めたところ、色々な可能性が示唆されたが、毎日七時間は寝るしビタミンも摂れている、ストレスも溜めていないしスクワットもしている。そんな私に足りていないのは、たんぱく質なのではないかという結論に至った。たしかに実家にいた時は大豆製品が食卓によく並んでいたが、今では豆を直近食べたのはいつか思い出せないほどの食生活に変化していた。

 朝昼晩、たんぱく質を一番摂りやすいのはいつだろうかと考えた結果、朝食なのではないかと思い至った。平日の昼食は基本的に外食なので栄養素まで考えていられないし、夕食は妻が作るので、たんぱく質多めでとリクエストをしても、料理歴の浅い彼女には難しい注文だ。そこで私が目を付けたのがプロテインだ。先日テレビでも『プロテインムキムキマンだけが飲む物というイメージが強い』と言われていたが、実際は大豆由来のソイプロテインは腹持ちがよく高たんぱくなので、置き換えダイエットとして女性に大人気らしい。

 善は急げ、行動力にだけは自信がある私は早速アマゾンでプロテインを購入した。説明によると、一食でたんぱく質を二十七グラム摂取できるらしいので、成人男性が一日に必要な六十グラムの半分弱をこの一食でまかなえるのだ。さらにソイプロテインは腹持ちがいいので、仕事中に腹が減って仕方がない現状もこれで打破できるはずだ。これは願ったり叶ったりだぞと私は息まいて到着したチョコ味のプロテインを牛乳で溶かして飲んでみた。
「う~んまぁこんなものか……」
 たしかにマズくはない。だがレビューで絶賛されていたほど美味しくもない。私は初めての買い物をする時はいつもサクラチェッカーという、アマゾンに蔓延るサクラレビューを見破るサイトを駆使しているのだが、この商品は純粋な購入者の意見ばかりだった。
美味しんぼを読みすぎて味覚が鋭敏になりすぎたのかな……」などと私は世迷言を言いながら、期待よりもイマイチ美味しくないプロテインをおよそ一カ月かけて飲み切った。

 次に私は違うメーカーのカフェラテ味を買ってみたのだが、これが実に美味しい。粉っぽくもないし、泡もあまり出ない。これなら続けられそうだと思っていた矢先、私はプロテインというもの自体が急激に嫌になってしまった。以前『朝食難民』というエッセイを書いたのだが、私は連続して同じ朝食を食べると数カ月ほど受け付けなくなってしまう傾向があるのを、たんぱく質を摂りたいという気持ちで一心不乱になって忘れていたのだ。

 これからどうやってたんぱく質を摂って生きていこうかということに、私は今猛烈に頭を悩ませている。
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これからもエッセイを投稿していきますので、気に入っていただけましたらまたご覧ください。
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ありがとうございました。